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AIシステム開発でのAIの選び方|2026年10月比較

JustFit編集部(運営:株式会社LEGAREA)

この記事では、自社のシステムにAIを組み込むときに、どのAIを選ぶかを考える観点を整理します。あわせて、Claude・GPT・Geminiの主要モデルを2026年10月時点の情報で公平に比べます。新規事業のAIシステム開発では、1つに決め打ちせず、動かしながら選ぶ考え方が合うと私たちは考えています。

なお、ここでの「AIを組み込む」は、システムの機能の一部としてAIをAPI(ほかのソフトからAIを呼び出す窓口)経由で使うことを指します。開発作業を手伝うAIコーディングツールの比較は、AIコーディングツール比較|特徴と向く使い方|2026年10月をご覧ください。

AIを組み込むときの5つの見方

AIモデルは新しいものが短い間隔で出てきます。Anthropicは2026年9月22日にClaude Opus 5.5を公開しました。Claude Sonnet 5.5は9月28日です。OpenAIは9月29日のDevDayでGPT-6.1 Solを発表しました。Googleは9月30日にGemini 4 Argonを発表しています。約1週間で4つの発表が続いたことになります。

このため「いま一番高性能なAIはどれか」で選ぶと、すぐに前提が変わります。私たちは次の5つの見方で整理するのが現実的だと考えています。

1. 仕事の種類に合っているか

AIの提供元も、モデルごとに得意な仕事を分けて説明しています。Anthropicは、Opus 5.5を慎重な判断が要る複雑な仕事向け、Sonnet 5.5を範囲が決まった日常的な作業やバグ修正、資料作成が得意なモデルと位置づけています。

また、OpenAIの新しいDecisions APIは用途が絞られています。あらかじめ決めた選択肢の中から答えを選ばせる仕組みで、内容の分類、依頼の振り分け、エージェントの次の行動の選択などに使えます。

システムに組み込む場面は、分類や抽出のような定型の処理と、複数の手順を自分で進める作業とで性格が違います。まず、AIに何をさせたいのかを1つの場面ごとに決めることが出発点です。

2. 単価ではなく「1回の処理あたり」のコスト

AIの料金は、AIが読み書きする文字の単位である「トークン」で数えます。入力と出力で単価が異なるのが一般的です。ただし、単価が同じでも1回の処理に使うトークンの量はモデルで変わります。

AnthropicはSonnet 5.5について、Sonnet 5より30%以上速く、多くの作業で費用が最大30%下がると説明しています。単価はSonnet 5と同じで、入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドルです。同じ単価でも、1回の処理に必要なトークンが減れば費用は下がるということです。

OpenAIは繰り返し使う文脈の料金も下げています。GPT-6.1 Solのキャッシュ入力は100万トークンあたり0.10ドルです。同じ文脈を何度も読ませる設計では、こうした項目の差も効いてきます。

3. 速度と、入出力の長さの上限

処理の速さは、使う人の待ち時間に直結します。長さの上限は、長い文書を扱えるかを左右します。GPT-6.1 Solは、100万5千トークンの入力と最大12万8千トークンの出力に対応しています。Gemini 4 Argonは出力上限が100万トークンとされています。数字だけを見るのではなく、扱う文書や出力の長さに照らして必要な水準を決めるのが先です。

4. 提供状況と、使える場所・データの扱い

発表されたことと、実際に使えることは別です。Gemini 4 Argonは、信頼されたサイバー防御担当者向けのFairwind Programを通じて提供が始まった段階です。2026年10月1日時点では、公開のGemini APIの一覧にArgonの項目は見つからなかったという確認結果もあります。

提供場所も確認点です。Claude Sonnet 5.5はAWS、Google Cloud、Microsoft Azureを含む各プラットフォームで使え、ゼロデータ保持の提供もあります。社内の情報管理の決まりと照らして、どのクラウドでどう使えるかを早めに確認したいところです。

5. 入れ替えやすい作りになっているか

モデルを変えるときは、名前を差し替えるだけでは済まないことがあります。Sonnet 5.5では、思考をオフにして使っていた場合に、新しい設定へ切り替える必要があります。GPT-6.1 Solの推論の強さは low・medium・high・xhigh・max の5段階で、「none」と「minimal」は選べません。

こうした差は、AIを呼び出す部分を1か所にまとめておくことで吸収しやすくなります。選び方の最後の見方は「あとで替えられるか」です。

2026年10月時点の主要モデル比較

次の表は、2026年10月時点で公式発表や公式ドキュメントをもとに確認できた内容です。料金は100万トークンあたりの米ドルで、入力/出力の順に書いています。

モデル 発表日 API料金(入力/出力) 提供状況 位置づけ(各社の説明)
Claude Opus 5.5(Anthropic) 2026年9月22日 $4/$20 AWS、Google Cloud、Azure、Claude Platform 慎重な判断が要る複雑な仕事向け
Claude Sonnet 5.5(Anthropic) 2026年9月28日 $2/$10 各クラウドとClaude Platform。ゼロデータ保持の提供あり 範囲が決まった日常作業、バグ修正、資料作成
GPT-6.1 Sol(OpenAI) 2026年9月29日 $2/$10(キャッシュ入力は$0.10) OpenAI API(gpt-6.1-sol)、ChatGPT Work、Codex 上位のGPT-6 Astraに近い性能を、Astraの5分の1の標準料金で提供
Gemini 3.8 Flash(Google) 2026年9月2日 $0.75/$3.75(2027年1月1日から$1.50/$7.50) Gemini API 日常使いの主力モデル
Gemini 4 Argon(Google) 2026年9月30日 導入期間は$2/$10、その後は$4/$20 Fairwind Programの参加者向けに提供中。一般向けの時期は未発表 ソフトウェア開発、法務・金融などの知識業務、サイバー防御

上の表以外にも、Googleには上位モデルがあります。Gemini 3.1 Pro Previewは、200Kトークン以下のプロンプトで入力$2、出力$12です。

表の読み方

  • 性能の数値は提供元の自己評価が中心です。 各社が使う評価の物差しは違い、横並びで比べられません。自社の用途で試した結果のほうが、判断材料として確かです。
  • 料金は変わります。 Gemini 3.8 Flashは上の表のとおり導入価格の期限があります。GPT-6.1 Solは、上位のGPT-6 Astraが入力$10、出力$50とされ、その5分の1が現在の標準料金です。
  • 「使える」の条件が違います。 Argonは発表済みでも一般には届いていません。比べるのは、いま実際に選べるモデルが前提です。

用途別の考え方

ここから先は、上の事実を踏まえた私たちの考え方です。特定のモデルを推すものではありません。

件数が多く、答えの形が決まっている処理(分類・抽出・要約など)。 速度と1回あたりのコストが効きます。Gemini 3.8 Flash、Sonnet 5.5、GPT-6.1 Solは、どれも候補になります。違いは、自社のデータで試して初めて分かります。

複数の手順を自分で進める作業(エージェント型)。 判断の質と、ツールを呼び出す仕組みが重要です。OpenAIのAgents APIは、コンピューター操作やツール検索、ツール呼び出しなどをアプリに取り込めるようになりました。Opus 5.5やGPT-6.1 Solが検討対象になります。ただし、仕組みの違いも含めて確かめたい領域です。

長い成果物を一度に出す用途。 出力上限の大きいArgonは気になりますが、一般には提供前です。いまのシステムは、使えるモデルで作り、提供が始まったときに入れ替えて試せる形にしておくのが堅実です。

各社のモデルの特徴をもう少し詳しく見たい場合は、開発向け生成AI比較|Claude・ChatGPT・Geminiも参考になります。個別の発表については、Claude Sonnet 5.5の発表と新規事業への影響、GPT-6.1 SolとCodexクラウド化が開発に与える影響、Gemini 4 Argon発表|開発と新規事業への影響にまとめています。

見落としやすい注意点

AIの出力には人の確認が要ります。 OpenAIは、難しい質問でGPT-6.1 Solが事実の誤りを含む回答をする割合が、低い推論設定でGPT-6 Solの11.4%から7.7%に下がったと説明しています。改善している一方で、誤りが残ることも示す数字です。品質の最終判断を人が担う設計については、AI開発でも品質には人の確認が必要な理由で整理しています。

生成した文章の扱いも仕様に含まれます。 Sonnet 5.5には、見えない形でテキストに透かしを入れる技術が含まれると報じられています。品質や読みやすさには影響しないとされる一方、AIが生成した文章かどうかを検出しやすくなります。生成した文章を顧客に見せるシステムでは、こうした仕様も事前に把握しておきたい点です。

「無料で使える」とうたう情報には注意が必要です。 Argonのようにまだ公開されていないモデルについて、第三者の情報が先に出回ることがあります。私たちは、公式発表と公式ドキュメントを確認してから判断します。

新規事業でAIを選ぶ進め方

新規事業では、AIが事業の価値そのものになることがあります。そのとき、AIの選び方は事業の出来を左右します。私たちが良いと考える進め方は次の4つです。

  1. AIにさせる場面を1つに絞る。 事業の中心になる場面を決めます。
  2. 実際のデータに近い例を用意する。 想定する入力と、期待する出力の例を10件でも20件でも集めます。
  3. 2〜3のモデルを同じ条件で動かして並べる。 品質、速度、1回あたりのコストを実物で見ます。
  4. AIを呼び出す部分を1か所にまとめる。 新しいモデルが出たときに、入れ替えて試せる構造にしておきます。

この進め方は、企画書だけでは決めきれない判断を、動くもので補うという考え方に近いものです。決裁の難しさについては新規事業の決裁を企画書だけで取るのが難しい理由、動くシステムでの確かめ方は新規事業のアイデア検証方法|動くシステムで確かめる手順で扱っています。プロトタイプの種類についてはプロトタイプとMVP・モックの違いを整理|新規事業の使い分けも参考になります。

AIを事業の中心に置く場合は、システム全体の設計も重要です。新規事業のシステム設計とビジネスモデルの作り方と、AIと人の役割分担を扱うAI駆動開発とは|AIと人の役割分担と発注側の要点もあわせてご覧ください。

まとめ

  • AIを組み込むときは、「仕事の種類」「1回あたりのコスト」「速度と長さ」「提供状況とデータの扱い」「入れ替えやすさ」の5つで見る。
  • 2026年10月時点では、Claude Opus 5.5・Sonnet 5.5、GPT-6.1 Sol、Gemini 3.8 Flashが実際に選べる候補。Gemini 4 Argonは発表済みだが、一般向けの提供はこれから。
  • 性能の数字は提供元の自己評価が中心。自社の用途に近いデータで並べて試した結果が、いちばん確かな材料になる。
  • モデルの更新は早いため、AIを呼び出す部分を入れ替えやすく作っておく。

JustFitは、株式会社LEGAREAが運営する完全オーダーメイドの受託開発サービスです。「先に作って、後から決める」という考え方で、構想をもとに約1ヶ月で実際に動くプロトタイプを作り、実物を見てから契約を判断していただけます。AIを組み込む新規事業でも、どのAIを使うかを動くもので確かめながら決めたい場合は、JustFitのサービス紹介をご覧ください。

参考にした情報

公式の発表・ドキュメントを中心に、次のページを確認しました(情報は2026年10月時点)。

次のページは公式以外の報道・解説で、Anthropic公式のOpus 5.5ページは今回確認できなかったため、Opus 5.5の内容は報道記事を参照しました。

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