Decisions API正式版、AIが確率・選択・点数だけ返す
OpenAIは2026年10月22日、GPT-6 Lunaを使う「Decisions API」を一般提供にしました。文章を書くのではなく、確率・選択肢・点数といった決まった形の答えを返すAPIです。この記事では、公式の情報で確認できた内容と、新規事業のシステムを作る会社にとって何が変わりそうかを、事実と見方に分けて整理します。
10月22日に一般提供になったDecisions API
OpenAIの公式ページによると、Decisions APIはGPT-6 Lunaを土台に、答えの範囲が決まっている質問に絞った機能です。テキスト・画像・構造化データを入力に、アプリやエージェントが近いリアルタイムで判断できるとされています。速さは、Responses API経由でLunaに尋ねる場合の最大10倍と説明されています。
提供の経緯は報道で確認できます。9月29日のDevDayで限定プレビューとして示され、10月6日に公開ベータとなり、10月22日に一般提供になりました。ベータからの変更点としては、1リクエストに含められる質問が200問から400問に増えたこと、GPT-Liveとの連携、プロンプトキャッシュ、米国とEUでの推論の地域指定が加わったことが報じられています。
返ってくるのは、文章ではなく3種類の答え
公式の開発者向けドキュメントでは、質問の型が3つ示されています。
- predicate(条件の確認):「目に見える破損があるか」のような条件について、真である確率を0から1で返します。
- choice(選択):用意した選択肢から1つを選びます。公式の例は、エージェントが続行・再試行・確認のどれをとるかです。答えには確率と信頼度も付きます。
- score(採点):順序のある段階の基準で入力を評価し、各段階の確率で重みをつけた平均を返します。
使い道について、公式ドキュメントはコンテンツの分類、リクエストの振り分け、作業の優先付けを挙げています。長い説明文や文書づくりは、これまでのResponses APIの役割として残ります。
数字は「判断そのもの」ではなく、判断の材料
公式ガイドが繰り返し書いているのは、返ってくる数字の扱い方です。choiceとscoreは確率の分布と、別枠の信頼度を返します。ルーティング・絞り込み・人の確認に使うしきい値は、自分のアプリのラベル付きの例をもとに決めるよう案内されています。さらにしきい値は、誤検知と見逃しそれぞれのコストをもとに選ぶとも書かれています。
開発者向けの解説記事からは、実装時の注意点も読み取れます。
- predicateは真偽ではなく確率を返すため、行動に変えるしきい値はコード側で決めます。質問ごとに回答が拒否されることもあるため、答えの種類を先に確認します。
- 解説サイトの指摘として、答えは用意した選択肢の中からしか選ばれません。逃げ道の選択肢がないと、想定外の入力が誤った箱に入れられてしまいます。
- 速度については、10倍という数字はOpenAI自身のResponses APIとの比較で、独立した比較は見つからなかったと述べる解説もあります。
これらは公式の記述とは別に、第三者がまとめた注意点です。
編集部の見方:判断が、事業の部品として切り出しやすくなる
ここからは事実ではなく、JustFit編集部の見方です。
振り分けや一次判定を、独立した部品として設計できる
新規事業のシステムでは、受け付けた内容の仕分け、申込内容の一次チェック、エージェントの次の一手など、小さな判断が何度も出てきます。これまでは、文章を返すAIの出力から答えを取り出す処理を作る必要がありました。答えの型を先に決める設計なら、判断の部分を独立した部品として扱いやすくなります。
判断に特化したAIは他社からも出ています。以前の記事では判断専用AI「Clef」などを取り上げました。今回の解説記事でも、TypeSafeのJevやMicrosoftのDecision-1が同じ種類のモデルとして並べられています。どの製品が合うかは、扱うデータや求める条件で変わります。
選択肢・段階・しきい値を決める仕事は、人に残る
APIが答えるのは、人が用意した質問と選択肢の範囲の中だけです。選択肢を何にするか、「重大」と「軽微」の線をどこに引くか、どの確率なら人が見直すかは、事業の考え方そのものです。誤った判断が事業の信用に響く部分ほど、この線引きは事業側で言葉にしておく必要があります。AIでも品質に人の確認が要る理由は、AI開発でも品質には人の確認が必要な理由で整理しています。
試すなら、実際に近いデータで小さく
公式の案内どおり、しきい値は実際のデータから決めることになります。そのため、机上の想定よりも、実際に近い例をいくつか集めて動かしてみる進め方が向いています。小さく作って確かめる考え方は、新規事業の開発は小さく作って確かめる投資判断の進め方が参考になります。
顧客の情報を判断に使う場合は、データの扱いも確認項目です。Zero Data Retentionは対象の顧客に提供され、HIPAAでの利用も同様に条件つきと報じられています。対象になる条件は、公式の最新の案内で確かめる必要があります。
公式の情報だけでは分からないこと
今回確認できた範囲では、次の点は分かりません。
- 10倍という速度が、どんな入力や条件で測られたのか。
- 実際の業務データで、どの程度の確率なら「任せてよい」と言えるのか。
- 対応モデルが今後増えるのか。現時点では、開発者向けドキュメントによるとgpt-6-lunaだけが対応モデルです。
精度の目安は、公式がしきい値を各社のデータで決めるよう案内していることからも、使う側の確認に委ねられています。料金の仕組みについても、公式の料金ページで最新の内容を確認してください。
まとめ
Decisions APIは、10月22日に一般提供になった、確率・選択・点数を返すAPIです。公式は、答えの範囲が決まった質問に絞ることで、判断を速く返せると説明しています。
編集部の見方としては、判断の部分が独立した部品になり、事業の中に組み込みやすくなる動きと捉えています。一方で、返ってくる数字は材料であり、選択肢の設計・しきい値・人が確認する条件は、事業側が決める仕事として残ります。
私たちJustFitは、システムが事業そのものになるような新規事業を得意とする、完全オーダーメイドの受託開発サービスです。構想をもとに約1ヶ月で動くプロトタイプを先に作り、実物を触りながら「ここはこう」とすり合わせる進め方を取っています。AIが返す判断を事業のどこで使うのかも、実物を見ながら考えられます。詳しくはJustFitのサービス紹介をご覧ください。
参考にした情報
- Build more responsive apps with the Decisions API(OpenAI)
- Decisions(OpenAI API ドキュメント)
- OpenAI Makes Decisions API Generally Available with GPT-6 Luna(Unite.AI)
- OpenAI Makes Decisions API Generally Available to Developers(TokenPost)
- OpenAI makes its Decisions API generally available(Crypto Briefing)
- OpenAI Makes Its Decisions API Generally Available(WebProNews)
- A Practical Guide to OpenAI’s New Decisions API(Towards Data Science)
- What Is the OpenAI Decisions API?(Emergent)
- OpenAI Opens Decisions API at 2.4x the Price of Rival Jev(FourWeekMBA)